皮肉屋な狂猫
ダン
ダン・ワイス
Dan Weiss
チーム「エーデルシュタイン」のメンバー。ベティの双子という形式で、生徒として在学している人工精霊。彼女の用心棒であり家族であり相棒のような存在。皮肉屋で口が悪く、ベティ以外に興味がない。人間のことを嫌い、特にベティと仲が良いイースとは水面下で火花を散らしている。
性別:男
出身地:マグナ・ダリア
クラス:戦闘魔術
専攻:呪術
武器:ナイフ
属性:闇
花:エーデルワイス
仲が良い:ベティ、ダグラス
仲が悪い:ディック、イース
出自
ダンの前世は猫だった。ワイス家に捨てられ、瀕死だった灰猫をベティが拾い、消えかけた魂を人形に移して再び命を与えた。その際に「友達がほしい」というベティの思いが宿り、ダンはただの人形ではない人工精霊になった。だからダンにとっての存在意義はベティがすべてだ。彼はベティを守るためならば何でもする。暗殺も身代わりも何だって。
「ワイス家も人間も嫌いだ。どうしてみんなベティを苦しめるんだ。彼女が何をしたって言うんだ」
好き・得意
彼の世界はベティを中心に回っているため、だいたいはベティかそれ以外に分類される。
嫌い・苦手
礼儀作法が大の苦手なダン。ベティにテーブルマナーや衣服の着方を教えてもらってはいるが、どうもひとりでは上手くいかず、アミーリアに注意されることもしばしば。実はあまり人間としての振る舞い自体が得意ではない。ダンの記憶はベティという存在が大半を占めるため、彼が人間時の姿はベティと似た姿をとるが、前世の影響か猫耳が残ってしまい、上手く消すことができない。そのため、よくフードを被って学園内を歩いている。
趣味
常にベティの近くにいるが、ベティから留守番を頼まれたときは、しぶしぶ学園近くの森へ出かけて身体を動かして過ごしている。鳥や小動物を追いかけまわしていると、白銀の精霊アルブスに叱られてしまうため、虫をとって遊ぶ。戦利品をベティに自慢しようと部屋に戻った際、アミーリアが気絶してしまい、大騒ぎになったことは若干トラウマになった。
「ただボクはベティに褒めてもらいたかっただけで……うぅ、ごめんなさい」
ベティについて
ダンにとってベティがすべてであるように、ベティにとってもダンがすべてだった。ずっとふたりで、ワイス家の辛い環境に耐えてきたこともあり、彼女には自分しかいないのだと信じていた。
しかし、学園に入学してアミーリアたちと友達になったベティを見て、ダンは自身の存在意義を考えるようになる。友人に恵まれ、ベティが幸せであることは、自分にとっても嬉しいことだ。ならばもう、自分は必要ないのではないか。自分は何のためにここにいるのだろうか。
心残りがあるとすれば、ベティが自分自身に答えを出せていないことだ。何者でもないベティが何者かになること。それがダンの最後の願いだ。
「どうかキミが幸せになれますように」
ダグラスについて
ワイス家のこともあり、ダンはベティを苦しめる対象として魔術師を嫌っている。だが、ダグラス・グランローズのことは嫌いではない。はじめこそ警戒していたが、彼はどこか他の魔術師とは違った。多くの魔術師は傲慢で自尊心が高く、自分が高みに上るためなら、他人を躊躇なく利用することができる。だが、ダグラス・グランローズという魔術師は、自分が魔術師であることに抵抗を抱いているようだった。孤高でありたいのに、孤高であることができない。強がりはしても、心の内には寂しさを抱いてしまうこの心を、彼なら理解してくれるかもしれない。少しだけ自分と似たダグラスという少年を、ダンは信じてみようかと思った。
「ベティがいないと暇だ。ダグ、ボクに構ってよ」
イースについて
第一印象として、イース・フリージアをダンは胡散臭い人間だと思った。善人ぶった化けの皮を剥がしてやろう。そうすれば、ベティも彼に失望するに違いない。それから何度もイースを観察し、彼の欠点を探したが、見つからなかった。
ベティと仲が良い彼に、彼女をとられてしまうような気がして悔しかった。ベティが安心していられる場所は、自分の傍だけであってほしいと思ってしまった。
ベティが彼を信頼していることを知りながらも、イースを認めることができず、彼に突っかかった態度をとってしまうダン。それに気づいたイースとの水面下での争いが日々行われている。
「あのペテン師め。ボクのベティは渡さないよ」
ギルバートについて
情報屋チームに所属しているギルバート・リアトリスとは、ダンが図書館で調べものをしている時に出会った。本の内容が難しく、頭を抱えてかれこれ数時間項垂れていたダンを見かねて、ギルバートが声をかけたのが始まりだった。ダンはギルバートが大魔術師トニー・リアトリスの弟であると知り警戒したが、ギルバートは控えめで兄トニーと違って知名度のない魔術師だった。ベティに内緒で魔術の勉強をするには、彼女と親しくない誰かの協力が必要だ。それに、影響力のある存在に知られて、万が一ワイス家に連絡されても困る。そう懸念していたダンにとって、ギルバートは最適な存在だった。ダンは彼にお願いし(半ば脅迫し)、密かに考えていた魔術について調べる手伝いをしてもらうことになった。
「ギルのやつ、いつも縮こまって図書館のネズミみたい。別にとって食ったりしないのに」